介護職員の給料が低い仕組みとは

働くなら待遇が良い職場
給料が低い仕組みと現場の声

給料が低い仕組みと現場の声

介護業界は給料が低いといわれていますが、なぜ低いのかその理由をしっかりと理解していますか?ここでは給料が低い仕組みについて、介護の現場で実際に働いている人の声を交えながら詳しく紹介していきます。

医療・福祉業界の他の職種と比べてみよう

職種によってバラつきはありますが、介護職の平均給料は役22万8,000円です。ボーナスなども含めた年収に換算すると、平均年収は約322万円です。介護職と同じ医療・福祉業界の他の職種と比べてみると、一番高いのは看護師の480万円、次が理学療法士の406万円、歯科衛生士の352万円と続いていますが、一番高い看護師と比べると年収は100万円以上も大きな差がついています。そのため、実際に介護職として働いている人の中には給料に対して不満を持っている人も少なくないようです。どのようなことに対して不満を持っているのか、現場で働いている人の声から考えてみましょう。
たとえば、ケアマネージャーとして働いている30代のAさん。月給はおよそ20万円台後半、と介護業界では平均的な給料ですが、同じ年代の他の職種の人は31万5,200円と下回っています。また、グループホームで介護福祉士として働く40代のBさんの月給は約16万円。こちらも同年代の他の職種の人と比べると7万円以上下回っており、激務な仕事に見合っていないと不満をこぼしています。

給料が低いのは「仕組み」が関係している

介護業界の給料が低めなのはそもそも給料の仕組み自体に大きな問題があります。
まず自治体が介護サービスの対価として介護報酬を介護事業所に支払い、その後、介護事業所が設備費や運営費などを差し引いてから職員へ給料を支払うわけですが、介護報酬の金額は国が決めているため、事業所が自由にサービス料金を設定することはできません。そのため、限られた収入の中からやりくりをしなければならず、給料を上げたくても上げられない状況になっているのです。
また、介護職の仕事は心身ともにハードで大変な仕事ですが、もともと「介護は家族の仕事」という認識があり、誰にでもできる仕事だと思っている人も多いため社会的地位や専門性が低いため介護報酬も低く設定しているのではないか、と考えている人もいます。
給料を上げるためには介護報酬を引き上げるしかありませんが、残念なことに引き上がるどころかむしろ下がる一方なため期待することはできません。さらに、いくら引き上がったとしても自治体と介護職員の間には事業所が入っているため、増えた分が働いている職員に直接届く仕組みにならなければ意味がないでしょう。

内部保留も大きな問題

働いている職員に直接届くのが重要なのは、介護事業所が持っている内部保留分が大きな問題となっているからです。介護報酬は請求したからといってすぐに入金されるわけではありません。大体2~3ヶ月ほどかかるため、2~3ヶ月分の収入を保有しておく必要があります。そのため、内部保留している事業所も多く、特別養護老人ホームなど規模の大きな施設の内部留保は約2兆円もあるといわれています。この内部留保分を職員の給料に回してくれれば問題はないのですが、なかなか実現していないのが現状です。
しかし、すべての事業所に潤沢な内部留保があるわけではありません。事業所全体のうち約14%は内部保留がないともいわれており、一部の事業所が平均を上げているにすぎません。

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